タイトル
ぜんぶ、すてれば
著者
中野 善壽
出版社 ディスカヴァー・トゥエンティワン
変化の激しい現代でいつまでも過去の事例には頼れないし、将来のことはわからない。
余計なものを持たず、ぜんぶ捨てて楽しんで全力で今日を生きようという著者のスタンスを紹介した本。本屋で立ち読みして購入した記憶がある。
ビジネス書の部類だと思う。著者は伊勢丹、鈴屋に入社してキャリアをスタートして海外展開も成功させてあれこれやって寺田倉庫の社長になったという人。
著者の生き方、ビジネスにおける考え方と、著者と交流のある著名なビジネスマンの「この人のここがすごい!」インタビューが書かれている。
私が百貨店の存在に気づいた歳の頃にはどこの百貨店も徐々に先行きが怪しくなってきていたし、寺田倉庫の名前もこの本ではじめて知りました。
きっとすごい人なんだろうなあということは、そういう感じに書いてあるので伝わります。
すごい人の仕事術を学ぼう!と読んだわけではなく、片付けをはじめるずっと前、2020年7月ごろに購入。
一度読んでそのまま本棚にしまっていました。
クラフト紙系の遊び紙、中表紙がクラフト紙に白い散らしのような紙に、表面だけ新シェルリンのスノーかプラチナスノーのような輝く加工が上品できれいです。
表紙の紙は「羊皮紙こそめ」でしょうか。もんやりした柄がすてきな紙です。
タイトルがひらがななので、明朝体のしなやかでリズムがある文字のタイトルで目を引きます。
著者が書いた本という形でなく、聞き取りした著者の考え方を編集してご本人らしさを出す、というスタイル。文章量としては少ないので、すぐ読み終わります。
・せっかちで仕事の進捗聞きまくっちゃう。明日が来るかどうかわからないし、地球が滅びるかもしれないし、さっさとやったほうがよい。
・自分の違和感を大事にはするし同調圧力にも屈しないが、人の意見も尊重しよう。自分の考えに執着しないほうがよい。
・「準備万端な日」は一生やってこないので、全力でやってみるがよい。
・こだわりがないから何でもできる。でもおかしいと思ったらいつでもブレーキを踏もう。「ここまでやったんだから」と執着しないほうがよい。
・役立とうという努力は大事だが、永久に役立つものは作りだせない。奢りを捨てて気楽にやってみる。
・ものに執着がないので、高い時計も車も家も持たない。土地や建物の売買の手続きにも煩わされずに済む。災害での心配も減る。必要な分以外は寄付する。
・「ここにいつでも戻って来られる」という場所を所有することは縛られることでもある。失うことへの不安が増える。ものの所有は安定を生まない。
・思い出を大事にしすぎて縛られて前と同じことをしようとするな。
・飲み会や人付き合いを捨てる。人は合わなくて当たり前。
・一枚の絵を飾るためには、絵を邪魔しない空間を作らないといけない。余計な物を捨て、持ち物の数は減る。捨てる贅沢。
・自分に誓う。自分の名前と住所を言って「今日も頑張ります」「明日までの食べ物はいただいているので、資源を更に増やせるように精一杯頑張ります」
「お導きには従います」毎日誓って姿勢を正す。「今日はありがとうございました。また明日も頑張ります」
他はお仕事の部下との付き合い方とかの話が多かったかな。
本の印税も寄付されるそうです。ブレない!お見事です。ぱっと開いたところを読むと片付けマインドおみくじを引く感じでよいです。
あと生意気な態度で会社やめた話とか載ってて、面白かったです。私も納得できず店長に口答えしてバイトをクビになるタイプの人間なので…
行き当たりばったりで海外に行ってみるとか、身の危険も少なくて体も強い男性だからな~という部分も多々ありと、幼少期から性被害に幾度も遭い患者の9割が女性の疾患を抱える私は感じますが(全然私のせいじゃないのに警戒しないといけないのマジでむかつくよな)
基本的に過去、未来、ものや考えに執着せず、責任は持つが気軽に、フットワーク軽く生きようぜ。というエピソードが続いていいな~と思います。
また、合間に挟まるインタビューがお仕事関係の人ばっかりなんですが(息子さんもビジネスマンである父としての話をしている)ご結婚されてるようなので個人的にはパートナーの方にお話し聞いてみて欲しいよな、と思いました。 ビジネス書だと思うのでやらないだろうけど。でも家庭って合同の経営じゃん。おそらく家庭人としては…って感じはしますけども。
一度目に読んだときも、家も買わず余計なものを持たず、軽やかに次々と渡り歩く著者のスタイルにそうだよね~!と(全然違うけど)共感し、憧れる気持ちがありました。そうやって軽やかに生きられたらなあという。
でもその時点では、いいなあ!と思いこそすれ、実際に片付けてはいませんでした。
私は心配性なので、所有してないことが不安を生み、さらに所有が不安を生むというタイプです。
でも私は道具を使う趣味が多いんだよな…どうしても所有してしまう。実用性のあるものが好きなので趣味と実用がマッチするものは長く使うし、買ってもいいなと思ってはいます。
今まさにものを捨てて、スペースを空けて、必要なものだけ置いてどんどんやりたいことをやろう!という気持ちが高まっているので、再読しました。
片付け熱に再び燃料が投下されました。そして本は人に譲りました。