タイトル
続ける思考
著者
井上新八
出版社 ディスカヴァー・トゥエンティワン
シンプルに白だけどちょっと質感のある紙。紙らしいポコポコ系じゃなくて壁紙みたいな感じ。「続ける」の文字だけキラキラ箔押し。
ブックデザイナーの仕事でめちゃくちゃ忙しい著者がいかにして毎日膨大な量のやりたいことをこなしているかを書いた本。
恐らく自己啓発書とかビジネス書系の成功哲学とか時間管理とか、そういうものをよく読むひとには「ものごとに取り組むためのテクニック」としてはさほど目新しいことは書いてないのではないかと思われる。私はあんまりそういうの読まないんだけど。
この本が面白いのは、著者の井上さんが続けていることの内容についてとても詳しく書いてあること。
「起きたらまず、空の写真を撮ってインスタに投稿」と出てきたときは、
「えっ。"人に見せる前提であろう意識高い素敵な生活"系の話だったのか?」
と(空の写真+インスタの組み合わせへの偏見で)思ったものの、読み進めていったら全然そうではなかった。むしろ飾らない、見栄をはらない感じが面白い。
著者の井上さんは記録のためにブログやSNSを利用しているんですね。SNSってPCとかに保存するより振り返りしやすいんだよね。
苦手な文章を書くことは「伝えることを意識して書く」という負荷をかけているそう。私も昔そうやって人に見せる前提にして苦手なことやってたことある!それからだいぶハードル下がった。
なにより驚いたし笑ってしまったのは、
○ドラクエⅩを発売から毎日、未だにやっている。
○あつまれ どうぶつの森で今も毎日、推しのララミーにプレゼントを渡してふたりで写真を撮っている。
ということ。声出して笑ってしまった。
先まで進んでいったらDS版のどうぶつの森も9年毎日やったって書いてあってちょっと震えた。
他にも5分のダンス動画を1年かけて覚えて動画撮ったとか(公開している)
納豆の記録を取ってるとか。漫画大好きなのに忙しくて全然読んでない!もっと読もう!って1日1話読んでるとか。
「こんなにきちんと自己管理して、これだけ人生に"役立つ"ことをやって、成果を出していますよ」という話ではなく、
興味を持ったもの、好きなものを忙しい毎日の中で少しでも続ける、とか、やってみたら好きになった、といった人生を楽しむためのコツの話だなあと思った。
自己管理系の話(特に男性の著者が多い)を読むと、月の半分は生理に伴うホルモンバランスの変化で体調が悪いとか、患者のほとんどが女性という生得的理由からくる持病の問題とかも抱えている私にとって、割と「男は体が強くていいよなあ~」と感じてしまう部分がある。
でも、「成果を出す」とか、「成功する」とか、そんなのを前提にしなくても、やりたいことをもっとやる、楽しむための取り組みや継続ってあるよなあと思わせてくれた本でした。
誰にでも続けるのが難しいほど忙しかったり、辛かったり時間がなかったりすることはあるし、それでも続けてるってそれだけでスゴイ。
私は「まとまった時間がないから」とやりたいことを(そんなまとまった時間は来ないのに)先延ばしにするタイプ。
変な完璧主義者は「100やれなきゃ意味ないし」と思いがちだけど、5を20回やれば100なんだから、気にせずちょっとやっとこうと思えたし、片付けが進んできてから前よりフットワークが軽くなってきたのでさっそくやってます。ピアノ弾いたりとか。
ちょうどDuolingoをちょこちょこやってて26日継続中なので、良いタイミングに読んだかも。
あと、仕事の事務とか本当にやらなきゃいけないものほどやりたくないことなんだけど、1日5分だけでもやってみると
「今日もやれなかった」
という罪悪感が驚くほど軽減する。なぜなら5分だけでもやってるから。100までやらなきゃいけないとしても、0か100かでなく、5だけ進んでいるということがこんなに気持ちを楽にしてくれるのね~と不思議な気持ちになった。
ジャンルは違えど一人きりで作業のフリーランスなので、そういう点でも参考になる点はたくさん。
私も映画が中学生くらいのころからずっと好きで、ものすごい数を観たのになにも記録していなかったし、忘れてしまったものも多いので、勿体なかったなと思った。もう観られないものも多いんだよね~VHSの時代から見ていたもので…
それから最後の、「ひとりでだってできる」という話がとても響きました。外注しろっていうのは効率を求める文脈の中では言われるけど、自分ひとりでもこんなにやれるよって、孤独に継続している著者にしかできない、勇気づけられるメッセージでした。
またディスカヴァートゥエンティワンの本読んでる。なぜ。
2023年12月9日に立ち読みもせずに購入していたみたいで、先延ばしになってたので読んだ。
なんで買ったのかは覚えてない!もうこのあとは思いつきの買い物は全然してないので、最後にした「思いつきの買い物」だったと思う。12月頭まではそんなことしてたんだなあ。でも結果として良い買い物でした。
これはブックカバーかけて本棚に入れておこうと思ったのでブックカバー買っちゃったのよ。買ってるじゃん!